夏海は黙って、打ち寄せる波の音をきいていた。
規則正しいリズムが、まるで子守唄のようなメロディを奏でる。
穏やかな海面は太陽の光を反射して、眩しく輝いている。
なんて美しい、なんて平和な光景。
ここには不登校や、受験や就職の悩みなんて一切ないのかしら。
その時、反対車線の停留所に一台のバスがやってきた。
車体のデザインは、夏海がさっき乗ってきたバスと同じだが、
全体的に黒みがかった色をしている。
大翔は立ち上がって道路のほうへ出て、黒いバスを見つめた。
バスは停まったまま動こうとしない。
「あのバスは?」
「俺が乗るバスらしい。
たぶん、あれに乗ったら完全にあの世にいってしまうんだろうな」
――だから私は絶対あのバスに乗ってはいけない、と
アルさんは言ったのね。
「ヒロ君は、あれに乗るの?」
「いつか乗らないといけないんだろうな。
でも、今はどうしても決心がつかないんだ。
もう生き返れないのはわかってるんだけど・・・
やっぱり、びびってんのかな」
夏海も立ち上がり、大翔のほうへ近づいた。
――わたしたちの運命は狂ってしまった。もう元には戻せない。
彼女は恋人の冷たい手を、そっと握りしめた。
「ヒロくん、一緒に乗ろう」
「え?」
規則正しいリズムが、まるで子守唄のようなメロディを奏でる。
穏やかな海面は太陽の光を反射して、眩しく輝いている。
なんて美しい、なんて平和な光景。
ここには不登校や、受験や就職の悩みなんて一切ないのかしら。
その時、反対車線の停留所に一台のバスがやってきた。
車体のデザインは、夏海がさっき乗ってきたバスと同じだが、
全体的に黒みがかった色をしている。
大翔は立ち上がって道路のほうへ出て、黒いバスを見つめた。
バスは停まったまま動こうとしない。
「あのバスは?」
「俺が乗るバスらしい。
たぶん、あれに乗ったら完全にあの世にいってしまうんだろうな」
――だから私は絶対あのバスに乗ってはいけない、と
アルさんは言ったのね。
「ヒロ君は、あれに乗るの?」
「いつか乗らないといけないんだろうな。
でも、今はどうしても決心がつかないんだ。
もう生き返れないのはわかってるんだけど・・・
やっぱり、びびってんのかな」
夏海も立ち上がり、大翔のほうへ近づいた。
――わたしたちの運命は狂ってしまった。もう元には戻せない。
彼女は恋人の冷たい手を、そっと握りしめた。
「ヒロくん、一緒に乗ろう」
「え?」
