「おばあちゃんの知り合いの霊媒師が亡くなって、
超イケメンの息子さんがあとをついだんだけど・・・
このひと、すごく不思議な能力を持っていて、
死んだ人と夢の中で話をさせてくれるんだよ。

子供のころ、母が亡くなって寂しい思いをしていたあたしのために、
おばあちゃんが彼に頼んで、夢の中で母と逢わせてくれたの。
とても夢とは思えないような、リアルな感覚で母と話ができて、
あたしすっごく嬉しかった。

もし、夏海がヒロくんにもう一度逢いたかったら、
その霊媒師を紹介してもらえるよう、おばあちゃんに頼んであげようか」 

にわかには信じがたい話だ。

――本当にそんなことができるのかしら。

もしかしたら、まだ子供だった菜々子は、インチキな催眠術にでも
かけられたんじゃないかしら。

しかし、目の前の親友は大まじめだ。

もし夢の中で大翔と逢って話ができたら、どれほど嬉しいだろう。
この二か月間、部屋に閉じこもって泣いてばかりいた自分の生活も、
少しは良い方向に変わるかもしれない。

それに、夏海にはどうしても、もうちど大翔に会って
聞いておきたいことがあった。

――おばあさまの知り合いなのだから、危険はなさそうだわ。

ダメもとで、その霊媒師に一度会ってみたい。

それまで生気のなかった夏海の瞳が、急にいきいきと光を帯びてきた。