逢わせ屋~美形霊媒師に恋をして~

彼女が店から遠ざかるのを確認してから、夏海が口を開いた。

「まえに、お兄さんにお仕事を依頼されたかたなの?」

「はい、篠塚さんはお茶の先生で、ご主人はスゴイ資産家でした。
ご主人は通帳や印鑑や株券などを、あちこちの銀行の貸金庫に預け
ていたんですが、その預け先を奥様に言わないまま
亡くなってしまいました。

困った奥様は兄に依頼して、夢の中でご主人と再会して
銀行名を聞き出し、無事に遺産を手に入れることができたんです」

「お兄さんへの報酬を現金で払えるのは、きっとああいう
お金持ちの人なのね」

うらやましげに夏海がつぶやいたのを見て、
セイは口元に人差し指をあてた。

「ボクがこの話をしたことは、兄には秘密にしてほしいのですが・・・。
その時、兄は篠塚さんが手にした遺産総額の一割を
報酬として受け取りました」

セイは淡々と話している。いったいどれくらいの金額なのか、
夏海には見当もつかない。

何千万?何億?