「セイ君は、お兄さんとはあまり似ていないのね。二人とも、
とんでもない美形だけど、お顔立ちや性格は・・・」

「兄とボクは、本当の兄弟ではありません」

あっさりとセイが言った。

「え?」

「でも遠縁なので、血のつながりはあります。それに
長いこと一緒に住んでいるので、本当の兄弟のように親密になりました」

「あの、お二人のご両親は?」

セイは、やっとコーラのカップを離した。

「兄の両親はだいぶ前に亡くなったそうです。ボクの両親は
離れたところにいますが・・・ボクはその、
学校でいろいろあって不登校になりました」

いじめにでもあったのかしら、と夏海は心配した。

「そのうち元の家にも居づらくなって、一人暮らしをしていた
兄のところに転がり込んだんです。
最初はほんの数日のつもりだったけど、兄がずっといてもいいよって
言ってくれて、そのまま居ついちゃいました」

「そうだったの」

「そんなに嫌な学校なら無理にいかなくてもいい、
そう言ってくれたのは兄だけです」

夏海はアルの意外な一面を垣間見た気がした。