「兄はどSです」

駅前のハンバーガーショップで、セイと夏海が向かい合って座っていた。
兄に夏海のアフターフォローを頼まれた弟は、
アルの毒気にあてられた彼女のショックを和らげようと、
お茶に誘ったのだ。

「相手が夏海さんのように純粋で可愛い方だと、
なおさらイジメたくなるようです」

「いえ、そんな・・・」

自分とは比較にならないほど美形の男の子に”可愛い”と言われても、
夏海はあまりほめられた気がしない。

「今頃は大翔さん相手に、どSぶりを発揮しているかもしれません」

「お兄さんはもう、ヒロくんに会っているの?うらやましい。
私も早く逢いたい」

ほとんど氷だけしか残っていないコーラのLサイズカップを、
セイはじゅるじゅると未練がましく啜った。

さっきは年の割に落ち着いているような印象を受けたが、
やはりこういう仕草は子供らしい、と夏海は思う。