「いつまでも死んだ男のことを思ってウジウジするな、
俺のことは早く忘れて、新しい恋人を見つけて幸せになれ

・・・というようなことを、彼女に言ってあげてください」

「い、いやだ」

驚いた大翔が、思わず大きな声を出した。

顔色一つ変えずに、残酷なことをさらりと口にする。
目の前にいる美しい男が、大翔には死神ではなく悪魔に見えた。

「言えないのですか?本当に夏海さんを愛しているなら、
彼女の幸せを願うはずですよ。
たとえその相手が自分でなくとも」

「そんなこと・・・言いたくない、絶対に」

「おや、そうですか。まあ、気持ちはわかります。
しかし、そうなると夏海さんが心配だなあ」

わざとらしいアルの口ぶりに、大翔はイライラする。