「大翔くん、私の仕事は”逢わせ屋”です。
大切な人に先立たれて悲しんでいる人を、夢の中で故人と再会させる、
という仕事をしています。

今日の午後、私は夏海さんから仕事の依頼を受けました。

彼女は夢で大翔さんと逢って、あなたが最後にするはずだった話を
聞きたいそうです。
それがかなえば、少しは前向きな気持ちになって、
恋人を失った悲しみから立ち直れるのではないかと、
おっしゃっています」

「あの、夏海はどんな様子でしたか」

「随分やつれた様子でした。おそらく食事も睡眠もろくに
とっていないのでしょう。

大切な人に突然先立たれて絶望の真っ只中にいる彼女を、
ぜひ勇気づけてあげてください。
私からもお願いします。

今夜にでも私が、眠りに落ちた彼女の魂をここへ連れてきますので、
あなたへの思いにけじめをつけられるよう、話をしてください」

ふと、大翔の顔がくもった。

「けじめ?」