逢わせ屋~美形霊媒師に恋をして~

ぼろぼろと大翔の頬に涙がこぼれた。

「俺は・・・俺は・・・来年大学を卒業したら、田舎に帰って・・・」

彼はそこで言葉を詰まらせた。子供のように泣きじゃくる大翔の背中を、
アルがぽんぽんとたたく。

「実家の・・・農業を継ぐつもりでした。
夏海が大学を卒業するまで待って、ふたりの気持ちが変わらなければ
結婚しようと」

「合宿から帰ったら、その話を夏海さんにするつもりだったのですね」

力なく大翔がうなずいた。

反対車線のバスは、あきらめたように走り出した。
バスは直線の車道をゆっくり進み、その先のゆるやかなカーブを
左に曲がったところで、ふっと姿を消した。

アルは黙って、海と空の境目を見つめていた。
沖のほうでカモメのかん高い鳴き声が響いている。

「なんとかならないのでしょうか」

ぽつりと大翔が言った。

「なんとかして、元の世界に戻る方法はありませんか。
新しい肉体を手に入れるとか、誰かの体を借りるとか」

「それはできません。たまに、無理やり他人の体に乗りうつったり、
未練がましくこの世をフラフラさまよう魂もありますが・・・。

亡くなった人の魂は、行くべきところへ行かねばなりません。
それが本人のためにも残された人たちのためにも、一番いいのです」

大翔はうなだれたまま、黙って聞いていた。