逢わせ屋~美形霊媒師に恋をして~

「何度もあのバスに乗ろうとしました。でも、俺が停留所で待っていても、
どれだけ必死に手を振って合図しても、絶対に停まってくれません。

あれは合宿先の旅館へ行くバスです。
あれに乗りさえすれば、水泳部の他のメンバーに合流して
一緒に帰れるはずなのに」

がっくりと肩を落とす青年を、アルは海の家のベンチに座らせた。

「あなたは、あのバスには乗れません」

「なぜですか」

アルは大翔と並んで腰を下ろした。

「大翔くん、落ち着いて聞いてください。あなたはもう、
亡くなっているのです。
水泳部の合宿でこの海に来て、事故に遭ったのです」

一瞬、大翔は無表情でアルの顔を見た。
相手の言っていることが理解できないようだ。

「何言っているんですか。俺はこのとおり生きていますよ」

「最後に海に入った時のことを思い出してください。
お酒が入っていたので、記憶があいまいかもしれませんが」

大翔はとぎれとぎれの記憶をたどった。

合宿最後の夜、浜辺で打ち上げのキャンプファイアーをやった。
缶ビールを飲んで花火で盛り上がって・・・
たしかメンバー全員で海に飛び込んだのだ。

だが、なぜか体がいつもより重くて、うまく泳げなかった。

そのあとは・・・そのあとは?

彼の記憶はそこで途切れていた。

浜に戻った覚えがない。