逢わせ屋~美形霊媒師に恋をして~

「彼女はあなたに会って話をしたいと言っています」

「俺も夏海に会いたい。でも、どうしてもこの場所から
出られないのです。
一緒に合宿に来た水泳部のメンバーが、いつの間にか消えてしまった。
みんなどこへ行ったんだろう」

海岸沿いの道路を隔てて、一軒の海の家が見えた。
軒先で涼しげな”氷”の文字が風に揺れているが、人影はない。

「大翔くん、あそこで座って話をしましょう」

「はい、でも店には誰もいませんよ」

「この世界には、あなたと私しかいません」

二人が海岸から海の家へ向かって歩いていると、
一台のバスが走ってきた。

大翔があわてて駆け出し、運転手に向かって手を振ったが、
バスは無視して走り去った。

海の家のすぐそばに停留所があるのだが、
そこで降りる客もいなかったようだ。