セイと夏海が並んで歩くうしろ姿を五階の窓から見下ろしながら、
アルは軽くヘコんでいた。

「なあヒミコ、俺にはやっぱり、癒し系王子様キャラは無理だな」

「まったく・・・若くてカワイイ女の子が来たからって、
カッコつけちゃって」

ヒミコが不機嫌な顔つきで答えた。

さんざん脅してみたが、彼女の決心は変わらなかった。
気弱そうな見た目とは違って、芯の強い女の子なのだろう。

「不安げな彼女の顔を見ていると、どSの血が騒いで、
ついイジメてしまった。
ちょっとやり過ぎたかもな」

アルは弟にメールを送った。すぐにセイが立ち止まって、
ジーンズのポケットから
携帯を取り出すのが見える。

    ”調子に乗りすぎた(^^;フォローたのむ”
    

内容を確認すると、セイは夏海に気づかれないよう、
後ろ手にピースサインを返した。

――では、さっそく仕事にとりかかるとするか