メモ用紙とペンが、もう一度彼女に渡された。

「あなたのメールアドレスを書いてください。私のスマホから空メールを
送りますので、先ほどの大翔さんの画像を添付して返信していただけますか」

「はい」

「まあ、報酬についてはゆっくり考えておきましょう。
それから、一つ言い忘れましたが、一人の死者に逢えるのは三度までです。
あまり何度も逢うと、お互いに未練がつのり、
特に大翔さんのように亡くなって間もない魂は、
行くべきところへ行けなくなってしまうことがありますので」

「わかりました」

メールアドレスを書き足して、夏海はペンを置いた。
アルがそのアドレスへ空メールを送り、すぐに大翔の写真が返信されてきた。

「では、これで契約成立です」

アルが立ち上がって右手を差し出した。夏海も反射的に立ち上がり、
彼の手を握った。女性のように繊細で柔らかい手だ。