「はじめまして。藤沢夏海です」

「夏海さんは坂崎さんのご紹介ですね」

「はい、そうです。親友の坂崎菜々子が、
昔こちらでお世話になったと聞きました」

「では、私の仕事の内容や報酬については、ある程度ご存じですね?」

「はい、だいたいは菜々子に聞きました」

黒い影が、テーブルの上に両肘をついて手を組んだ。
左腕に何か光っている。ブレスレットでもつけているのだろうか。

「彼女の話を聞いて怖いと思いませんでしたか」

「いいえ」

「怪しいとか、インチキだとか思いませんでしたか」

夏海はドキッとした。まるでこちらの心の内を見透かされているようだ。

「いえ・・・とにかくアルさんにお会いして、お仕事をお願いしたかったんです」

しばらくの間、沈黙が続いた。