逢わせ屋~美形霊媒師に恋をして~



     *


食事を終えたアルは箸を置くと、食事前と同じように
目を閉じて両手を合わせた。

「ごちそうさま。本当においしかった」

彼がミンチのひとかけらも残さず、
きれいに食べてくれたことに夏海は感激した。

「こんなにきれいに食べていただいて、嬉しいです。
もっとお料理が上手だったら良かったんですけど・・・」

「十分ですよ、夏海さんはいい奥さんになれます」

夏海がつぎ足してくれた番茶をすすりながら、アルが答えた。

料理は味つけも盛りつけも、こなれてはいなかったが
律義でキチンとして、いかにも彼女らしかった。

最初に薄いと感じた味噌汁は、最後の一口の中に
溶け残った味噌のかたまりが隠れていたが、
それさえ可愛らしく思えた。

空になった食器を彼女がすべて片付け、
テーブルの上が二つの湯呑と花だけになると、
急に二人は無口になった。

アルは黙って夏海の顔を見つめている。

夏海はその視線に耐えられず、左腕のブレスレットの石をさわりながら、
うつむいてコスモスの花を見ている。

おもむろにアルが口を開いた。

「夏海さん」

「はい」

夏海の返事が、高いかすれた声になる。

「そろそろデザートをいただきたいのですが」