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日が暮れたころ、小さなキッチンのテーブルで、
アルと夏海が向かい合っていた。
テーブルの上には二人分の夕食が用意されている。
メニューは白飯、味噌汁、ハンバーグ、ホウレンソウの卵とじ、サラダ。
――まるで家庭科の調理実習のようなメニューだな。
それがアルの正直な感想だった。
調理実習メニューは、二枚の花柄のランチョンマットの上に
それぞれきれいにセットされ、テーブルの真ん中に
コスモスの花が活けてあった。
白いワンピースの上に淡いピンク色のエプロンをつけた夏海は、
緊張した面持ちで番茶を淹れている。
――いいなあ、若い女の子が家にいるって。
いつもと違う華やかな雰囲気をしみじみと味わいながら、
アルは彼女のかいがいしい姿に見入っていた。
視線を感じて、夏海はますます緊張する。
「お口に合うかどうかわかりませんが、どうぞ」
「美味しそうですね。いただきます」
アルは目を閉じて両手を合わせ、箸をとった。
味噌汁を一口飲む。
――うすっ。
もちろん、顔には出さない。
