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潮風に吹かれながら、アルと夏海は海の家を目指して、
とぼとぼと歩いた。
「女子高にいたとき、課外授業で”チカン撃退のための護身術”
を習ったことがあったんです。
地元の警察が学校に来て、チカンから身を守るための方法を
おしえてくれました」
風で乱れる髪を片手で押さえながら、夏海が話した。
「前から抱きつかれたら頭で相手の顔を突くとか、
後ろから抱きつかれたときはひじ打ちをするとか、
いろいろあったんですけど・・・やっぱりあそこを蹴るのが
一番効果があるって、婦人警官のかたが言ってました」
全くそのとおりです、とアルは心の中でうなずいた。
身体が感じる痛みはもちろんだが、精神的なダメージも大きいのだ。
先日、自分が夏海に股間を蹴られたときは、
部屋の壁や天井が一斉にタラタラと溶け出して、
その中に自分も埋もれて無くなってしまうような、
どうしようもない無力感や哀しさ、やるせなさがあった。
