逢わせ屋~美形霊媒師に恋をして~

「くそっ」

あわててナイフを拾おうとした大翔が、
思わず夏海をつかまえていた腕を緩める。

すると彼女は身体を反転させて、大翔と向き合うかっこうになった。

夏海はわずかに体をかがめると、反動をつけて伸び上がりながら、
夢中で大翔の股間を蹴り上げた。

アルの時よりも、さらに渾身の力をこめて。

「うっ・・・」

苦痛に顔をゆがめながら、大翔は床に崩れ落ちた。


ほんの数秒間、時間が止まったように車内が静かになった。

最初に我に返ったのは運転手だった。
プシュッと音がして、ドアが開く。

「夏海さん、早く」

アルが夏海の手をとり、二人は転げ落ちるようにしてバスを降りた。
直後にドアが閉まり、バスが動き出した。