「馬鹿なことは、やめなさい。
自分の愛した人を、道連れにするのですか」
「夏海だって、最初は俺と一緒に死んでくれるつもりだったんだ。
それをお前が横取りしたんだろうが」
大翔は夏海を人質にしたまま車道を渡り、
反対車線で待っていた黒いバスに近づいた。
アルも、一定の距離を保ちながら二人の後を追う。
ドアのステップに片足をかけて、大翔が叫んだ。
「このコは誰にも渡さない」
夏海はわずかに顔を動かして、
自分に刃物を突き付けている恋人の横顔を見た。
眉は吊り上がり、目は飛び出しそうなほど大きく開き、
鬼のような形相をしている。
瞳はまるで別の誰かに操られているように、何も映していなかった。
これが本当に、あの優しかった大翔だろうか。
自分は一体、彼のなにを見ていたのだろう。
自分の愛した人を、道連れにするのですか」
「夏海だって、最初は俺と一緒に死んでくれるつもりだったんだ。
それをお前が横取りしたんだろうが」
大翔は夏海を人質にしたまま車道を渡り、
反対車線で待っていた黒いバスに近づいた。
アルも、一定の距離を保ちながら二人の後を追う。
ドアのステップに片足をかけて、大翔が叫んだ。
「このコは誰にも渡さない」
夏海はわずかに顔を動かして、
自分に刃物を突き付けている恋人の横顔を見た。
眉は吊り上がり、目は飛び出しそうなほど大きく開き、
鬼のような形相をしている。
瞳はまるで別の誰かに操られているように、何も映していなかった。
これが本当に、あの優しかった大翔だろうか。
自分は一体、彼のなにを見ていたのだろう。
