夏色エレジー 〜病弱な君の好きなとこ。〜




「あ、綾花ちゃん」








病室のドアから顔を覗かせる小柄な女の子は、橋下綾花(ハシモトアヤカ)ちゃん。










隣の病室に入院していて、優とは病院内で唯一の友達だ。










「綾花!体大丈夫なの?」










私には特に喜ぶ素振りを見せなかった優が、綾花ちゃんが顔を見せただけで声のトーンを上げたことに少しムッとした。










「ありがとう、平気だよ。それにしても、いつも雨美ちゃんと優くんは仲良しで羨ましいなぁ。雨美ちゃんは毎日お見舞いに来てくれてるし・・・」









「はは、一応幼馴染だし心配になっちゃうからね〜・・・」









「ホントにもう、雨美は心配性なんだから」











好きだから会いにきてるんだよ、馬鹿。











優はいつもこうだ、音楽的な感性は飛び抜けていいくせにこういうところはイラつくほど鈍い。










「ま、まぁ元気ならいいんだ。それじゃあまた明日来るから・・・綾花ちゃん、優のことよろしくね」










「うん、またね!雨美ちゃん」










「もう帰るのかぁ・・・でも暗くなっちゃうし、仕方ないか。またね!雨美」











二人の笑顔に軽く手を振って、私は病室を出た。