ガラッ
真っ白で静かな部屋の奥、カーテンの向こうから男にしては高めな歌声が聴こえた。
「優は相変わらず歌が上手いね」
そう言ってカーテンを開けると、ベッドに横になりながら真っ赤な顔をこちらに向ける優の姿があった。
「盗み聞きなんて酷いじゃん、雨美」
「ごめんって。でもあんなに上手なんだからもっと自信持ちなよ」
小さい頃から入退院を繰り返す優の唯一の特技と趣味は”歌”。
ふと思いついた詞とメロディを組み合わせては病室で小さく歌っていた。
いつもの優の声と、歌う時の優の声はほんの少し違う。
そんな小さな部分にも惹かれてしまう私はきっと重症だな。
「・・・ふふ、こんにちは。雨美ちゃん」
ふと、高くて可愛らしい声が私の名前を呼んだ。
