夏色エレジー 〜病弱な君の好きなとこ。〜

おばさんは親戚が入院していてそっちへお見舞いに行ってからくるらしく、途中で別れた。














「優、きたよー・・・」













小さく声をかけてみても、返事が無い。
まさか発作か何か・・・













ぐるぐる巡る思考に焦りながら慌ててカーテンを開けて、私は絶句した。













・・・寝てる・・・。














子供のような顔で規則的な寝息を立てる姿は平和そのもの。













少しでも命の危機を想像して焦った自分が酷く間抜けに見える。














「ったく、びっくりさせないでよね・・・」













なんて呟いて、優の柔らかい黒髪を弄ってみる。











む、なんでなんのケアも無しで髪も肌もこんなに綺麗なんだ。













若干の苛立ちを込めて頬をつついてやった。我ながら幼稚な八つ当たりだ。













「・・・ん〜・・・あ、雨美・・・?」













ギク、なんて効果音を脳裏で響かせつつ、あくまで平然を装う。













「おはよ、優。これからおばさんもくるよ」












まだ意識がぼやけるのか、優は目を擦りながらフラフラと起き上がった。













「ちょっと僕、顔洗ってくる〜」













と、タオルを片手に病室を出ていった。












ふらついてるけど大丈夫かな・・・。















「あ、雨美ちゃん!」













ぼんやりしていた頭が瞬時に目覚めるような、透き通った綺麗な声が、私を呼んだ。