誰だって、学校生活を普通に送りたいと思っているはずだ。

「あの人…"犯罪者"じゃないの?」

思わずピクッと耳が動く。聞き慣れている言葉のはずなのにやはり、気になってしまう。

「どうした?小暮?」
「なんでもねぇよ。」
「でも小暮さん、変です。」
「夕月何いってんだよ!小暮はつうじょーてんかいだよ!」
「どや顔で言ってるけど、通常運転だからな。通常運転!ほら、早く行くぞ!!!」
「「「はーい。」」」

俺は気にせずこいつらを連れて、一歩を踏み出す。人の気も知らず鼻歌を歌ったり、「やっぱり、小暮はボンキュッボンな人が好きなんだよ!!!」「小暮さんは、その辺あまり気にしない方だと私は思います…。」と恐ろしい会話をし出す始末だがほおっておこう。

「そんなわけないでしょ?知らないの?あの人は、ここの"保育士"の人でこの学校一の文武両道才色兼備の持ち主だよ。」
「そうなの!?…確かによく見るとカッコいい…///」
「騙されてはいけないよ?こう見えても小暮はロリショタこんなんだから!!!だから今の心境は…"やべぇ、ハーレムじゃんこれ!?両手に花ってやつだぜ♪"って鼻の下伸ばしながら考えてるんだよ?変態でしょ?」
「「えっ?…」」

さっきとは裏腹、熱を持った視線ではなく冷ややかな目を向けられる。

「はぁ…。こいつの言うことは…」
「ほんとなのか?小暮!私や夕月といるとやらしい気持ちになるのか?」
「嫌、ならねぇよ!?何、いってんの!?」
「小暮さんのためなら私…」
「夕月は脱ごうとしないくていいからな!?つか、やめろ!!!」
「うひょー!!! 小暮は変態なんだな!!!」
「鼻血を出しながら、夕月を見るなこの糞ガキ!!!不潔だ!!!」
「って言いながら、一番不潔なのは小暮だよねぇ?」
「そうか…お前は死にたいんだな。わかった俺がこの世から末梢してやろう。歯くいしばれぇ…。」
「怖いよ?ねぇ、小暮それマジなやつだよね?やめて…やめ…イヤァァァァァァァァァァァァァァ!!!」

若干一名の犠牲を払いつつ、俺は彼女達の誤解を解くため説明を始めた。

「えーっとその…なんていえばいーかわっかんねぇけど… 暇だったら旧校舎の保育室に寄ってくれ。あんたたちが来てくれれば、コイツらも喜ぶと思うからさ?な?」
「遊んでくれるのか?やったー!!!」
「小暮さんが言うなら…」
「おねぇさんたちが俺らと遊んでくれるの?」

彼女達はコイツらの屈託のない笑顔を見て、

「わっ、私達で良かったら…」
「今度おねぇさんと遊ぼうね?」
「「「うん!/はい。」」」

彼女達の好意が本当に嬉しい。俺だけではいろんな遊びに付き合うのは大変だし、来てくれるだけでもコイツらは飛ぶように喜ぶだろう。

「本当にありがとな?」

俺はそれだけで笑顔になれる。コイツらが笑顔なら俺はそれだけで充分だ。

「「いっ、いえ…///」」
「もう、だから騙されちゃいけないよ?彼のハーレム計画の一員にされるところなんだよ?君達?」
「なっ!? 小暮はそんなにハーレムがいいのか?私と夕月じゃ足りないって言うのか!?」
「誤解を生むような発言をするな!!!手がかかるのは小夏と夕月と日向で充分だ!!!」
「私は…手がかかりますか?小暮さん、私は面倒ですか?」
「夕月は3人の中じゃ一番まともだし、手がかかんねぇよ。」
「小暮さん…!!!」

感極まった夕月は俺にぎゅーと抱きついてきた。

「ずるいぞ!夕月!」
「あっ!!!俺もやるー!!!」

そういって小夏も日向も抱きついてきた。

「あんまり押すなって。くすぐってぇだろ?」
「小暮さんは私の大事なお兄さんです!!!」
「ありがとな?」
「私にとっては大切な旦那さんだぞ?」
「小夏は黙れ。」
「楽しんでるとこ悪いんだけどさ?今の一部始終見てると普通にロリショタとじゃれてるいい好青年って設定になっちゃうよ?いいの!?小暮はロリショタに色目を使う変態残念なイケメンお兄さんでしょ?設定変わっちゃうよ!?」
「お前はどんだけ俺を変態にしたいんだよ!!!」
「小暮~、早く部屋戻ろーぜぇ。」
「わーたよ。じゃあ、時間あったら来てくれな?」
「「はっ、はい!」」
「「「バイバーイ!/さようなら。」」」

台風の目のように去っていった彼らを彼女達は呆然と見ていた。

「ちょっと変わった人だけどいい人そうだったね?小暮さん。」
「うん。時間あったら行こうね?」
「あんなイケメンに会えるんだから絶対に行くわよ!!!」
「うん。…小暮…さんかぁ。ふふふっ♪」
「何考えたのよ!!! 教えなさい!!!」
「秘密♪」
「あやしぃ。」

ここでも何か起きそうな予感が!?しているのであった。