玄関でチャイムの鳴る音がした

ああ、とうとうこの日がきてしまった

憂鬱な気持ちをおさえながら真新しい制服に身を包んだ僕、庵原深月(イオハラミヅキ)は玄関の扉を開けた

目に入ったのは僕よりも少し高い背、相変わらず地毛のくせに明るい茶髪でわんこのような笑顔を向けてくる幼なじみの安堂陽(アンドウハル)である


「おはよ、みーちゃん学校行こっか」


みーちゃんというのは昔から陽が僕を呼ぶあだ名であり高校生へと上がった今も相変わらずのようだ


今日が憂鬱な理由、それは今までろくに通うことのなかった学校へ通うことになるからだ、陽はなぜか僕と同じ高校にあがった

僕としては好都合な同じ中学からあがる人のいない学校だがなぜと不思議に思ったがそれよりも陽の学力ならばもっと家から近い学校の方がよかったのではないかと、勉強についてこられるのかそちらの方が心配だ

そんな僕の心配をよそに相変わらず笑顔を向けたまま待たせているのも可哀想になってきたので僕は小さくうんと頷くと学校への道を歩み出した