【紗綾side】
「翔太郎っ、これ、スペシャルイチゴクレープ!」
どこからか、そんな声がした。
翔太郎…私の彼氏と同じ名前だったから、反応してその声をした方に顔を向けてしまった。
そこには、翔がいて…綺麗な女の人と話していて、多分一瞬だけど、翔と目があった。
でも、見てはいけないような気がしてすぐに目をそらした。
自分の知らない、翔がいるような気がした。
挨拶くらい、してくれればいいのに。
絶対、気付いてるはずなのに…
「林、クレープきたよ」
篠田がそう言ったので、我に返った私は篠田と話し始めた。
翔とまだ別れたくない…あの時のように、大事な人を手放したくない…
眞白と仲直りした時みたいに、簡単にはいかないってわかってる。
早く…謝る。というか、誤解をとかないと…
でも、今日はまだ…変な気持ちが邪魔をしてる。

