「前から思っていたんだけど、この学校、なんか感じるのよね~」
・・・感じる?
「感じるってどういうこと?」
「やめよう、麗華ちゃん。」
私がこの話に興味を持ち始めようとしたとき、嫌がるように要が言った。
「どうしたの?要ちゃん。やめようってどういうこと?」
私は訳がわからないので、とりあえず、聞き返した。
「八尋千夏はね・・・。」
「感じるって言ったら、もうアレしかないでしょ!」
要の言葉を聞き取ろうとした瞬間、八尋の話は再開していた。
「あれ~?白倉さんわかんない?実はこの学校はね・・・幽霊がいるんだよ!ゆ・う・れ・い!」
は?私は一瞬、八尋の存在自体を疑った。・・・・・・なんでさっきまで私はあんなに熱心に耳を傾けていたのだろう。まさか、こんな小学生レベルの内容だったとは。
「・・・八尋千夏はね、大のオカルト好きで有名なんだよ。だから、やめようって言ったんだよ。」
要が諦め顔で言った。同じクラスの人間の有名なところも知らないなんて。やっぱり、マメに学校に行った方がいい。このままだと本当に学校のみんなに置いていかれてしまうと思った。
でも、なんか引っ掛かるとこがある。オカルト好きなんて、世の中にはいっぱいいる。なんで要はそれだけであんなに嫌そうなんだ?周りの女子生徒も要と同じような表情だ。
「まぁ、この学校全体がヤバい雰囲気なんだけど、私は特にここがヤバいと思うのよね。」
まだ、八尋の話は続いていたのか。八尋がヤバいと言った先にあったのは・・・放送室だった。こんなとこに放送室があったんだ。ちっとも気がつかなかった。
要達はいつここを脱け出そうかとタイミングを図っている。・・・確かにすっごいどーでもいい話だけど、正直、内心、興味があり、胸が高鳴っていた。でも、八尋のことだ。ここで彼女と仲良くなれば、しつこく絡んでくるだろう。
どうするべきか迷っているうちに要達ほかの女子生徒は逃げてしまい、残された私の目の前では、八尋が放送室のドアを開けていた。