「松村先輩、先に走ってて下さい。すぐ追いつきますから」


「分かった。早く来いよ」


「はい」


そして、松村先輩は走り出す。


「前田!! 何勝手に…」


チュッ。


「夢、絶対叶えて下さいね」


そうやって私は伊東先輩の頬にキスすると、放心状態の伊東先輩を置いて走り出す。


もし、甲子園に出場する夢が叶わなかったとしても


私は男だったら…なんて後悔しないよ。


伊東先輩が好きなのは



女の私だから。



―終わり―