「あと、六日目。」
私は起きてすぐにそう呟いた。
時計を見てみたら、五時を指していた。
いつもより、少し早めだな。楽しみで早く起きちゃったみたい。
「今日はなにしようかな。」
せっかく、一緒にいられるんだから、楽しいことをたくさんしたいな。
私は机からレポート用紙を取り出し、「やりたいこと」と見出しを書く。
んー、やりたいことか……。書いてみようと思ったはいいけど、あんまりやりたいこと、ないな。ひとまず、青龍を呼んで、優也をのせてもらって、一緒に空飛びたいな。あと、閻魔大王に会っておくか。どうせ後で会うんだし。あとはね、ゲームセンターにも行きたいかも。プリクラ撮りたいな。
「あ、奈津、おきてたの?」
「うん。まあね。それより、優也こそ、いつからおきてたの?」
「俺、幽霊だから、眠くならないんだよ。」
あ、そうだった。普通にしゃべったりしてたから、すっかり忘れてた。
「ねえ、優也、何かやりたいことある?」
「えー俺?特にないよ。みかを早く安心させてあげたいってことが、今の一番の望みだからさ。」
嫉妬の感情が生まれてくる。でも、必死にそれを押し込めた。
少ししか一緒にいられないんだから、そんな黒い感情を持ってたら、楽しめるものも楽しめなくなる。
「大丈夫だよ。お母さんからみかさんには連絡がいってるから、楽しみにしてると思うよ。」
「そうかな?」
「そうだよ!だって、私たちに依頼するのは、ただじゃないのよ。だから、とっても楽しみにしているはずだよ。」
無理矢理笑顔をつくる。大丈夫。嫉妬なんかしていない。この感情はウジウジしている優也にイライラしているだけだ。
「じゃあ、今日は、ゲームセンターに行こう!」
「え?なんで?」
「実は私、今まで全然友達がいなかったからゲームセンターに行ったことがないんだよね。プリクラも撮ってみたいし。」
優也が憐れみの視線を向けてくる。そんな目で見ないでよ。惨めじゃん。
「私の人生初のゲームセンター、付き合ってくれない?」
「はあ、しょーがないな。これから友達ができたときに、初めてだと、恥ずかしいもんな。」
私は苦笑いで返す。友達ねぇ。
