昨日の傷はもちろん治っており、朝から、任務の報告のメールを送る。もちろん、おこづかいの交渉も、忘れない。


 その返事は、おこづかいの量と優也のことだった。


 優也の彼女(みかさんというらしい)は今すぐ会いたいと言っているらしい。すぐに会わせてあげればいいのに、私は「記憶が戻ってからがいいからまだ止めた方がいいと思う」と、送ってしまった。なんでだろう?自分でもわからなかった。


 優也が起き上がった。


「おはよう。記憶の方はどう?」


「うーん。思い出せないなぁ」


「みかっていう名前に覚えは?」


「…あっ!!」


「どうしたの?」


「たぶん俺、その子のこと心配している。……思い出した!俺、みかと付き合っていたんだ。すごく可愛いんだよ!!それにあいつすごく心配性で、俺が少し怪我しただけで心配してさ」


 何でだろう。胸が痛い。


「よっぽど好きだったんだね」

 私が苦しまぎれに言ったことにも乗ってくる。


「おうっ!!でも、一緒に海に出かけたとき、みかが車に溺れそうになって、それを俺がかばってそのまま…」


 優也の勢いがなくなった。私はそのままつづける。


「死んじゃったのね」


「うん。だから、みかが生きていたか、心配だったんだよ。それに、自分に責任を感じてないかも、心配だな。」


 みかさんがうらやましい。今ごろ気づいた。私、優也に恋してる。遅いな。もっと前から気づいていたら、記憶を取り戻す手伝いなんてしなかったのに。


「みかさんに会いたい?」


「もちろん!!」


「そっか。……ごめんね。」


最後の言葉は優也には聞こえないようにつぶやいた。