「動けないから運んでよ。」




「あいあい。」


 素直に言うことを聞いてくれた。意外。もっと反論してくると思ったのに。


 帰り道、優也は、やけに優しかった。


「ねぇ、なんで今日保育園の前にいたの?」


「子供、かわいいからだよ。」


 それって……


「ロリコン?」


「いやいやいや違うって!そんなんじゃないよ。」


 あわてている様子が面白くて、もう少しからかってみることにした。


「じゃあ、どんなんなの?」


「子供ってかわいいでしょ。だから、それを見て、和んでいただけだよ。」


「そうゆうのをロリコンって言わずして、なにをロリコンというのだろうか。」


「違うよ!!ロリコンっていうのはね…。」


 優也はなにやら自説を言いはじめたので、それを無視する。


 みんな、気になっているかもしれないから説明すると、私は霊に触れている間は、まわりの普通の人には見えないのだ。だから、私が浮かんで動いているように見えるわけではないから安心してね。


 家に到着。ベッドの上にゆっくりとおろしてもらった。


「痛っ」


 思わず、言ってしまった。あのクソ霊につかまれた部分が痛んだ。その場所を見てみたら、血が出ていた。


「うわっ。血が出ているじゃん!!」


 優也が心配そうに見てくる。でも、私はあまりきにしない。


「大丈夫だよ。明日には治っているから。」


 そう。私は、治癒能力も高いのだ。




「でも、怪我人なんだから、休んでなさい。」


「…ありがとう」


 私は小声でつぶやいた。今まで、親にもあまり心配されたことがなかったから心配してくれて、嬉しかった。