あの夏の向こう側--君と見た全国大会--







結局、宗介くんは1人でボール籠を持っていくと、フリースロー始めた。




「宗はほんと、バスケ好きだよなぁ。」


「閖志くんもでしょ?」


「うん、まぁそうなんだけどさ。なんか、バスケに対する真剣さ、っていうの?
そうゆうのが全然違うなって思うんだよね。」



閖志くんはそう言って笑う。
だけど、私にしてみれば閖志くんも十分真剣だと思う。

宗介くんの場合、全部の興味関心がバスケだけに向いてるから、そう思うだけであって。
きっと勉強も同じように頑張ってる閖志くんとは比べちゃいけない。
2人はバスケが好きってこと以外全然違うわけだし。



「宗介くんは真剣とか考えてないよ。多分やりたいからやってるだけ。

閖志くんとは違うもん。」


「うん、そうだね。

どうしたの、琴。凄い泣きそうな顔してる。」



泣きそうなんて気のせいだ。
今になって鈴禾くんの言ってたことを思い出すなんて。

でも、目の前で楽しそうにバスケをしてる宗介くんを見てたら、鈴禾くんが泣きそうな顔してた理由がもっと分かんなくなって……


「鈴禾くんがね、もうバスケはしないって言ったの。……何か理由があるのかな?

私、分かんない…鈴禾くんのことも。赤夜くんと瀬月くんのことも。」


「琴……。鈴のことは琴がそんなに気にすることじゃないよ。鈴はね、今は理由があって来れないだけなんだ。

けど、きっとすぐ来てくれる。
だからもう少しだけ、ね?我慢しよ。

……1年生2人は俺がどうにかするから。」


「うん……」



ニコッと笑って立ち上がった閖志くんは、宗介くんと一緒にフリースローを始めた。
まぁ結局1on1になったんだけど。


けど閖志君のおかげで、少し元気でたかも。

まだまだ私はめげてる暇なんてないんだから。