あの夏の向こう側--君と見た全国大会--





宗介くん達はもうきてるかな……

きててほしいな。なんて願いを込めて体育館の扉を開ける。





………きてない、か…。




バスケは好き。






だけど嫌い。





具体的にどこが、とかがあるわけじゃない。

ただ、少し抵抗があるだけで。



閖志くんの行為を無駄にするのは嫌だけど、どうせ2人ともすぐ来るだろうから、別にいいよね。





……そう思ってたのに。

気がつけば、なんとなくとったボールを抱き締めて、フリースローラインに立っていた。



「…………1回だけ。」



1回やれば分かる。

あの時の辛さも悲しみも、バスケの、残酷さも……。



ゆっくりと息を吸いながら頭の上でボールを構える。

もう、2年も経つんだ………。




息を吐いてからボールを放った。



ガゴンッとバックボードに当たってからゆらゆらとネットを揺らして入ったボール。

……だから嫌だったんだ。



染み付いた3年間の教えはそう簡単には消えないらしい。
何度も泣いて、それでも練習してきたフリースローだけは落とせない。

今でもそう思ってるのかな。


……今はあの時とは違うのに。





「泣きそうになるぐらいならやるなよ。」


「へ?」


いつ来たのか、扉に寄っ掛かっている宗介くん。まさかいるとは思ってなかった。



「別に無理にとは言ってねーだろ。」



そう言うと、私が放ったボールを拾う。



「宗介くん…………」