あの夏の向こう側--君と見た全国大会--






ーーコンコン




「失礼します。入谷先生、今いいですか?」


「杠か。どうした?」

「宗介くんの補習の件なんですけど、五十嵐先生から聞いてますか?」


「あぁ。珍しくあいつが古典を落としたって結城が騒いでたアレか。

聞いてるぞ。いつがいいとか、要望はあるか?」


「とりあえず冬休み中に1日だけって考えてます。」



言ってみてから思い出す。
確かに今まで宗介くんが古典を落としたところを見たことがない。


全体的に勉強が苦手で、いつも赤点ギリギリだとしても、古典は宗介くんの中では断トツで得意な方だと前に閖志くんから聞いた気がする。

その宗介くんが、古典を落とすなんて、何かあったのかな……。



「あー、じゃあこの日とかどうだ?次の日に練習ないし、この補習対策で年内最後の部活になる。」

「先生が良ければ私たちはいつでも。皆に30日って伝えてもいいですか?」

「あぁ、休日練と同じ時間から始めようか。その方が楽だろう。
冬休みの練習は俺も出来るだけ参加出来るようにするから。」


「分かりました。ありがとうございます。



失礼しました。」





部活にはあまり顔をださない入谷先生。
だけど、どんなことにも協力的で、私たちは助かってる。
中学の頃はバスケ部だったらしくて、ルールそれなりに分かってるから、入谷先生が顧問で本当に良かったと思う。