あの夏の向こう側--君と見た全国大会--







「ことー?こーと?」


「ん……?」

「琴が寝てるなんて珍しいね。」


「えっ、あ……もう、放課後…だ………。」



休み時間もぶっ通して寝てたなんて…。

疲れてたわけじゃないのに。



「大丈夫?

あのね、入谷先生のとこに行く琴に言っても仕方ないとは思ったんだけど、俺ちょっと午後練遅れるね。

あ、あと。宗も、午後練遅れるって。」


「えっ?2人とも遅れるの?」


「うん。だから、今日の午後練さ。
もし琴が一番早かったら、バスケ、してていいよ?」


「……なんで、バスケ?」

「あれ、バスケするよね?」


「う、うん……」


質問に質問で返されても困る……
そもそも、なんで私がバスケすること知ってるんだろう?

私、閖志くんに言ってないと思ってたんだけど……



「宗がさ、言ってたよ。

たまにはあいつにもバスケさせたい。

って。だから。

あっ、でも琴が一番早かったら、だからね。」


「あ………うん…。」

「じゃあ、俺は行くから。」



閖志くんはリュックを背負うと、そのまま教室を出ていった。



教室を見渡せば誰もいなくて。

ふと見た時計の針は15時45分を指していた。