あの夏の向こう側--君と見た全国大会--





「閖志いた。おー琴梨もいたか。ちょうどいい。」

「話の内容はだいたい分かりました。」


「足りないのは古典と物理だけなんだが、それぞれ冬休み中にテストがある。
ただ、それに不合格だと進級できない可能性があるらしい。

それを防ぐために補習を……と思ったが、当の本人があれじゃあな。」



先生は、相変わらず寝ている宗介くんの方を見て苦笑いする。

確かに、進級の危うい宗介くんが寝てるんじゃどうしようもない。



「それは困りますね。バスケ部のためには、留年も良いかもしれないけど…。

どうすればいいですか?」


「俺としては勉強を教えてやってほしい。できれば部活単位で。
俺は冬休み、仕事が多くてできないんだ。」


「分かりました。入谷先生と相談します。」

「あー、そうか。あいつ、バスケ部の顧問か。
いいよ、俺から伝えとく。」



そう言えば、と思い出す。

男子バスケ部の顧問の入谷一哉(かずなり)先生と、五十嵐先生は小学生からの幼馴染み、と言うことを。


仲が良いのかは別として、付き合いは長いらしい。

働き出した職場まで一緒なんて辛くないのかな?あ、でも仲はいいのか。

寄り道してつい、違うことを考えてしまう。