あの夏の向こう側--君と見た全国大会--








「けどさ、やっぱ閖志の方が間違ってることもあるわけよ。」


「え?」



なにが?と聞く前に、宗介くんは笑って閖志くん達のもとへ行ってしまう。

本当に、宗介くんは何を考えてるんだろう。




「閖志、交代。」


「あれ、宗。来てたんだ。ってかなんで交代?まだ終わってないんだけど。」


「ソウ先輩、邪魔しないで下さいよ。」


「…あのなぁ。閖志、忘れてるみたいだけど、俺たちは今、2人しか部員がいない。
だけど、試合やるには5人必要なわけ。

赤夜はどうしても必要なわけよ。


ってことで閖志。1on1しようぜ。俺が勝ったら、赤夜もいれること。」



「………なにそれ、俺に勝ち目ないじゃん。

はぁ、ごめん赤夜、変な意地はって。
これから一緒に部活しよ。」



「俺の方こそすみません。


……俺、本当は少し怖かったんすよ。」



怖かった?

赤夜くんが怖いものなんてあるの?




「今日の午後はちょっと用事があるんで、明日の朝からでますね。

じゃ、失礼します。」



なぜか寂しそうに笑った赤夜くんは、そのまま一礼すると、体育館を出て行った。