あの夏の向こう側--君と見た全国大会--





「遅くなってわりぃ、今何してんの?」


ガラッと開いた体育館の扉から、若干走ってきた気味の宗介くんが入ってきた。




「そ、宗介くんっ!」


「なんだよ、そんな慌てて。」


「閖志くんと赤夜くんが1on1してるの!

閖志くんが勝ったら、赤夜くんに部活来るなって言ってて。」



確かに、今まで部活に来なかったのは赤夜くんがいけないと思う。
どんな理由があったにしろ、無断で休んでたわけだし。

だけど、これからも閖志くんと宗介くんだけで部活なんてやっていけない。



そんなこと、閖志くんが一番よく分かってるはずなのに……



「まっ、閖志にもなんか考えがあんじゃねーの?」


「宗介くんっ!?」


「だってあいつ、無意味なことなんてしねーもん。
純粋に必要なことと不必要なことに物事分けて、不必要なことに手間なんてかけねぇじゃん。

お前もそれ、知ってんだろ?」


「知ってるけど……」


最近、宗介くんの言ってることがよく分からない。
考え方と言うか、意味を理解しがたいって言うか……










……あぁそっか。きっと違うんだ。

バスケに対する思いと、仲間への想いが。




だから、私の方がみんなを信じきれてない。