あの夏の向こう側--君と見た全国大会--









「ユリ先輩と1on1なんて初めてっすね。ちょっと緊張しますわ。」


「ふーん。俺は緊張なんてしないけどね。」




赤夜くんは軽くボールをつくと、腰を落とす。


それと同時にドリブルで閖志くんをかわしてシュート体勢に入ってそのままボールを放った。


だけど、放たれたボールにギリギリ伸ばした閖志くんの指が少しだけ触れて、ガタンッとバックボードに当たってボールは跳ね返る。




そのまま閖志くんの攻撃に移った。


いつものように、ジワジワとゆっくりドリブルで様子を見る。
少しの隙を見てから、閖志くんは一歩下がってボールを放った。

スリーポイントライン手前からボールを放つのは、もう癖みたいで宗介くんとやるときの1本目はいつもこれ。


閖志くんの放ったボールはジャンプした赤夜くんに触れることなく、綺麗にリングに収まった。




「さすが、ユリ先輩。半年前とは大違いだ。」


「嫌味か、お前。」


「まぁ……そうかもしれないっすね。」



赤夜くんは言い終わると同時に、カウンターと言っていいほどの速さで閖志くんをかわして、綺麗なレイアップを決めた。




「お前も成長したってことね。」


「もちろん。」




2人の間をバチバチと火花が通るような、そんな感じ。

睨み合ってるわけじゃない。

現に赤夜くんはニコニコしてて、閖志くんも薄ら笑いを浮かべてるぐらいだから。




だけど、2人の周りには険悪な空気が漂っている。