「………何しにきたの?」




一瞬体がビクッと反応した。
いつもとおんなじ優しい口調なのに、声はいつもより何倍も低い。



それだけで感じとれるくらいに、閖志くんは怒っていた。




「部活しに来ただけですけど?ダメっすか?」


「お前、今まで何してたわけ?」


「先輩には関係ないですよね?俺が何してようと。」


「あっそ。なら帰れ。」


「えっ?ゆ、閖志くん?」



いや帰れって……せっかく来てくれたのに、閖志くんは何を考えてるの。
部員も全然集まらなくて大変なのに。




「それすげぇ理不尽っすね。どうせなら1on1で決めましょうよ。

俺が勝ったら部活には参加させて貰います。
だけどもしユリ先輩が勝ったらもう来ません。」



「……約束、守れよ?」



………どうしてこうなったの。

言い終わるとともに、閖志くんと赤夜くんは体育館の中に入る。


2人して、ボールを手に取り何回かバウンドさせると、閖志くんは持っていたボールを適当に放った。



……赤夜くんから、ってことらしい。