次の日。
重たい体育館の扉を開けると、閖志くんだけがいて、軽いストレッチをしてた。
「おはよ、閖志くん早いね。
………あれ、宗介くんは?」
「おはよ。珍しいよね、まだ来てないんだ。」
「そっか……あ、前屈手伝うよ。」
「ありがと。」
バックを扉の近くに置いて、閖志くんの背中を軽く押す。
今日は閖志くん1人か……
いつもみたいに走って、基礎トレして、シュート練かな。
いや、それしかできないよね。
全く。2人でも大して変わらないけど、やっぱりいるかいないかじゃ全然違う。
宗介くんはどこ行ったんだろう?
「琴、そろそろ大丈夫。ありがとう。俺走ってくるけど、琴はどうする?」
「ついてくよ。」
急いでタオルを持って扉の近くにいる閖志くんの元にいく。
閖志くんが扉を開けようとした途端。
「うわっ!」
「閖志くん!?大丈夫?」
何故かわからないけど、扉が開く。
閖志くんはそのまま前のめりになって、体育館からでた。
いや、でたと言うよりは転びそうになってついでちゃった、の方が正しいかもしれない。
「あ、ユリ先輩。大丈夫っすか?」
私が駆け寄るよりも早くに、誰かが閖志くんの腕を掴んでいた。
そのおかげで、閖志くんはなんとか体勢を立て直す。
「あか、や………」
「久しぶりっすね、ユリ先輩、コト先輩。」
「赤夜くん……」
閖志くんの腕を掴んでいたのは一ノ瀬赤夜(あかや)くんだった。
閖志くんの腕を離すと、掴んだ張本人である赤夜くんは私たちに軽くお辞儀をした。