あの夏の向こう側--君と見た全国大会--







「何に泣いてるかは大方想像つく。」


「宗介くん……」


「だけどな、あいつらの中の誰も、バスケを嫌いになんかなってねーよ。

むしろ逆。好きだから続けるためには仕方ねーの。俺らにできるのは、あいつら信じて部活続けることだけ。 」


「で、でも……!」



好きだから仕方ない……だけど、それでもいつくるか分からない人達を信じるの?
そんなの……っ!




「少なくとも俺は信じてるぜ。あいつらは絶対戻ってくるって。
琴梨はそんなに信じらんない?」


「そうゆうわけじゃ……」




そうゆうわけじゃない。ただ、もし来なかったら?それこそいつまで経ったって試合ができない。

宗介くんたちが、一生懸命続けたって人数が揃わなきゃ意味がない。





「じゃ、これお前持ってろ。んで、俺らが全国行ったら返せ。」


「え、これ………ねぇ、これ……?」


「昔、閖志と鈴禾と3人で買ったやつ。なに、見たことあんの?」



手のひらに乗せられた銀色のネックレス。
羽の形と星みたいなのが1つずつついていた。

この、羽の形……
もう1つが星じゃなくて、月の形だったけど、間違いない。

鈴禾くんがつけてたのと同じやつだ。



「すずか、くん、が……これ、持ってた……」


「なら、あいつは戻ってくる。あいつがこれを持ってる限りな。

それに、俺らは絶対全国に行くよ。絶対に。
あいつらに会うためにも。」




宗介くんの自信がどこかくるのかは分からない。

だけど、ネックレスを握りしめた手のひらから何か暖かいものが伝わってきて。



今なら、皆を信じられる……

その時は確かにそう思ったんだ。