あの夏の向こう側--君と見た全国大会--





こんなはずじゃなかったのに。
人数はギリギリだとしても、みんなバスケが好きで、真剣で、だけど楽しく。

そうやってやってきたつもりだったのに、みんなは違ったのかな?



「琴、ごめんね。一人でモップ掛けさせちゃって…って、えぇ!?琴、どうしたの!!?」


「どーした、閖志。大声出して。」


「琴、なんで泣いてるの?」


「泣い、てる…?あ、本当だ。私、なんで……」



自分でも知らないうちに一筋の涙が頬を伝っていた。
思い出に浸って、過去を羨んで、今に失望するなんて、馬鹿みたいだ。



「おい、終わったんならもう帰るぞ。閖志、体育館のカギ頼むわ。」


「あ、うん。って、宗!?」


「さっさと帰るぞ、琴梨。」


「えっ!あ………」


ガシッと腕を掴まれたかと思うと、そのまま宗介くんに引きずられるように体育館の外に連れてかれて、気が付いたら昇降口まで来ていた。



「はやく。」


「あ、うん…」



宗介くん……なんのつもりなんだろう?

訳の分からない宗介くんの行動に、私は首をかしげるだけで。
だけど、いつの間にか涙は止まっていた。