4月。
今日は中学校の入学式。
岩本 結愛。13歳。
今日から中学校の1年生になる。

私が今日から通う中学校は、不良が多い事で有名だった。
そんな所に1人で行くのは不安で、家が隣の幼なじみ、清水 彩愛と一緒に中学校に行き、クラス発表の紙を見ていた。

クラスが5組あるから、自分の名前を見つけるのは大変だろう、と思い、ゆっくり探そうと考えた途端、自分の名前が目に入った。
2組だった。彩愛は4組。
彩愛とクラスが離れた事に落ち込み、誰か知っている子がいないか探したけど、知らない子の名前ばかりだった。
「彩愛、どうしよ~。友達出来ないかも…」
「大丈夫!! 結愛ならすぐ友達出来るよ!! てか、結愛のクラス、皆がイケメンって騒いでる子がいるじゃん!!羨ましい~。」
イケメン??それより友達がいない事の方が結構重要な気がするけど、まぁ、いっか。
「そうなんだ!!」
適当に流しておいた。

そこから私達は自分のクラスに行った。教室に入ると優しそうな女の先生がいた。
制服を着ている子も数人。
黒板に、自分の出席番号が書いてある席に座るように書いてあったから、私は自分の番号が書いてある席に座った。

私の近くの席には、まだ誰も座っていなかった。
話をする人も居なくて、暇だったから教室に入って来る人を見学をしよう、と思って、出入り口を見た。
すると、顔が整っている、1人の男子が入って来た。
目があった。
でも、その男子はすぐに目を逸らし、自分の席に座った。
私は、今までにないくらいドキドキしていた。

しばらくすると、段々と教室が埋まって来た。
そんな中でも、私はさっきの男子から目が離せずにいた。
すると、いつの間にか入学式の時間になったらしく、私達は廊下に並ばされて体育館に向かった。


長い入学式が終わり、今日はもう下校。
彩愛と一緒に帰る約束をしていたから、待ち合わせ場所の靴箱に向かった。
私はなぜか、今日目があった男子を探していた。
でも、いなかった。
名前もまだ知らないし、誰かに聞く事も出来ない。
まぁ、知っていても誰かに聞く勇気もなかったと思うけど。
仕方なく諦めて、彩愛と2人で下校した。

下校中もあの男子が気になって仕方なかった。

これが、私とあいつの出会い。
この時の私は、あんな切ない想いをする事になるなんて知らなかった。