母ちゃんからは、自分の父親は呑んだくれのクズ野郎としか聞いていなかった。
そりゃ、顔もそんなに覚えてねえよ、思い出したくなかったし。
ただ、覚えてるのは、嬉しそうに俺の名前を呼んでくれる声。
―レオッ…て、
自分の身体が、震える子犬のように小刻みに震える。
感情が、高ぶって痙攣をおこしているんだ。
「いつまで泣いている。さっさと決めろ。」
アニィが俺から離れ、俺の頬を優しい手のひらで包む。
パシッ。
ミナトがアニィの手を振り払った。
眉を思い切り下げ、歯を食いしばり、目の前のアニィにキツい視線をぶつける。
「…レオを、兵士にやるなんて言うんじゃないですよね?」
「そのつもりよ。今じゃ貴重なガタール民族。それに、レオには…」
アニィが俺の手をぎゅうっと握りしめる。
それを見たミナトはまるでハエを叩くのかのようにアニィの手をはらい、
俺の腕を引き、ぎゅうっと抱き締めた。
「そんな、危険なところへ行かせられない…。」
兵士…?俺が?
…考えるまでもねえだろ…。空戦隊に入るんだろ…?
「ぶっ潰したいです………。俺の家族を殺したスプリットとかいう奴らを…。」
