私達が貴方達より少し歳が上の時代の話。
私達の住むダス・ハザールには学校がなかった。
だから、週に一度、街のばーちゃんが私達に勉強を教えてくれたわ。
勿論単独で勉強する子もいた。
貴方達の住んでいる、エク・ラークとは違う街並みで、
少し和のかかった街だった。
スプリット法の存在はもちろん知らない人はいなかったわ。
特に年代が上の人々は、よく知っていた。
その事について書かれた本も多数とあった。
そう、悪騒動が起こったのはそんな平和な暮らしをしていた1年後。
カンカンカンッ!
街の鐘がなった。
皆が鐘の塔へと注目した。
「スプリットが隣国に現れたと情報が入った!!」
「警戒せよ!!警戒せよ!その者はガタール民族に強い恨みを持っている!」
―警戒せよ
その言葉を何度も繰り返す。