手が震えている。
それを抑えるように手に力を入れる。
ガタール民族、なんか引っかかる…。
こんな話、まるで漫画の中だ。
おとぎ話みてえな話…、だけど、実際に起こっている。
少しずつ、少しずつ受け止めるしか、ねえ…か。
「ガタール民、全員がそのスプリット法を使える訳じゃない。生まれつきでその技術が身についている赤ん坊や餓鬼は滅多にいない。低確立だ。」
「そう、また長くなる話だけど、聞いてくれるかしら、8年前、一度スプリットを全滅させた英雄がいた。なのに、最近となってまた出現した。その英雄の話を少ししようかしら。」
アニィが小隊の顔を伺う。
小隊は顔色一つ変えずに頷く。
俺はいつのまにか汗だくだ。背筋が冷え、嫌な感覚に襲われる。
隣で小隊と同じように顔色一つかえず、目を瞑って何かを考えるミナト。
…ルイのおじさんも、ミナトのばぁちゃんも、本当に無事なのだろうか。
あの時、俺は自分の事しか考えてなかった。
だから、だから母ちゃんも…。
「ック…!」
自分の手の傷を思い切り引っ掻き、ブレスレットを握る。
「…レオ、今はアニィさん達の話を聞くの。感情的になっている場合じゃない。」
