スプリット人格。


「正解かどうかなんて、誰にも分からねえ。……けど、俺がお前なら、俺もお前みたいな行動にうつると思う。」

ミナトの頬に伝う涙を、傍に行って拭ってみる。

「……仮定だが、大人は何を言ってもこれから治ることはないと思うんだ。どんなに酷い言葉を言っても、傷は残るけど内容は覚えてない、みてえな。」

「だから、恐怖というもんも加えて、体にその躾を刻み込むんだ。人間同士なのに言葉で通じ合えないなんて、不公平だけどな。」

「ッ……」

椅子にかかってあった俺の灰色い羽織を、顔を覆うようにミナトに被せる。

「やるよ。このパーカー。」

「え…?」

「お前は今まで俺を気付かねえところでも守ってくれた。だから、せめてものお礼。」

頬が赤くなるのを感じた。照れくせえ。

「んで、これからは俺がお前を守る。今まで、すまなかったな。お前の荷物を全て背負ってやれなくて。」

「ッ……、うっ、……。」