ガタン、と音を立てて机に手をつく母ちゃん。
その音でルイもミナトも一斉に母ちゃんを見た。
「……明日、教えてあげる。とても大事な話。誰にも言ってはダメな話。ミナトもルイも明日のお昼、うちへおいで。」
ルイがその場を立った。
洗面台で顔を洗い、自分のハンカチでゴシゴシと拭いている。
「今日は御迷惑をすみませんでした。明日のお昼、必ずまた伺います。」
口角を目一杯あげて、俺とミナトを見るルイ。
親指を立て、「また明日ね」と告げて家を出ていった。
ルイは、人一倍優しくて、人の心を動かすような説得力を持っている奴だ。
そして、……俺の唯一の親友。
俺も自分の殴られた顔を、氷で冷やす。
