母ちゃんの顔を見れない。
俺は片手で顔を覆いながら、横を向いて応える。
「母ちゃんに、荷物を背負わせたくなかった。」
「誰がやめていいだなんて言ったの!?」
「自分の判断だよ!母ちゃん一人で、ぜん…ぶ…、」
目の前には、涙を流す母ちゃん。
声を震わせ、俺の肩を掴む。
「お願い…、さっきも見たでしょう?タダでさえ、こんな世の中に住ませてしまっているの…、お願いだから、親らしい事をさせてちょうだい…。」
「あ……。」
手が震えた。
目から涙が零れる。
「けど、俺は…、勉強をしてまで、どんどん上の学校へは進みたくねえ…、意味はあるかもしれないけど、学校だって、ロクな生活送ってねえんだよ?受験だなんて……そんなんやるくらいなら、母ちゃんを……。」
ガタンッ!
「レオ、駄目…、私は貴方に普通の生活をさせたいの…」
