スプリット人格。



ザクッ

「やめなさいっ…ミナト…ッ!」

「…おばさ…ん?」

ハァハァ、と息を切らす母ちゃんが、ミナトのナイフの先を、しっかりと手で受け止めている。
手から流れ落ちる血が、砂に垂れ堕ちる。

ハッ!としたルイが、ミナトの前へ行き、土下座をかます。
おいおいおい…、何してんだよ…?

「すみませんでした!僕が、僕が余計な口を挟んだばかりに、こんな大事にしてしまい、申し分がございません…!」

「あ、はあ…、こ、今度から、気ィつけろくそがき共…!」

ザッと、一気に去って行く大人達。
その中には、涙を流す子供が数人いた。

「あっ…あ、おばさ……、」

「大丈夫よ、大丈夫…。」

ナイフをそっと抜き、ミナトをぎゅう、と抱き締める母ちゃん。
俺は腰が抜けたのと、顔面の痛みで立ち上がれねえ。
ルイは、涙を流しながら地面から顔を上げようとしない。