「別に、知らないコトが悪いことではな いんだけど…あの星野先輩だよ?」






「そんなに有名な人なの?!」






「うん」





私としたことが……そんな有名な先輩を知らないなんて…っ








「先輩に失礼だ!私のばかっ!」


「花音は馬鹿じゃないよ?可愛いから」


「…ん…?」






なんか、今のって変じゃない?
馬鹿と可愛いってどんな関連性が…?
って、その前に!




「私、可愛いくないよ…?」





NGワードを言ってしまったら、いつの間にか気持ちのコントロールが効かなくなることを忘れていた。





「もぉ〜!花音ってば、鈍感なんだから! 自分の可愛いさをわかってない‼︎」






わかってるもん…お世辞だって、麻由香ちゃんが知らないだけで、私にも色々あったんだから…






私、彼氏に捨てられたんだよ…?
『お前、マジ可愛いくない』って





ゔぅ…ダメだ…





「ちょっと、お手洗い行ってくるね。」




と言って、笑顔を作った。   

私はまた、逃げ出した。









思い出すだけで、自分が壊れそうで怖かった。あの恐怖が戻ってくるみたいで、怖かった。だから、中学生の頃の悪夢を振り切るために、屋上までひたすら走った…